青箱と双璧をなす定番リード、V12
みなさまこんにちは、もつでございます。さて今回は、バンドレン リード吹き比べ・徹底比較レビュー企画第2弾!『V12』通称『銀箱』でございます!
その温かみのある音色、音色の均一さなどから『traditional(青箱)』と双璧をなす大人気のリードになりました。私もたまに使います。
もはや定番『V12』、レビューしてまいります!
まずは公式の解説から
特別な形状のケーンを選別して製造されており、ヒールは厚く、トラディショナルよりも先端が厚めでパレットが長くなるように加工されています。パレットが長くなることでリードの振動面が広くなり、深く豊かな音が得られます。そして先端を厚くしたことでアタックがとてもしっかりとして、また長持ちするようにもなりました。
すでに25年にわたって成功を収めているクラリネット用と同様に、厚めのヒールと長めにされた∗パレットが特徴で、その結果振動部分が広くなり、より深く豊かな音が得られます。 また、正確な発音、均一な響き、よくコントロールされた高音域、あたたかくベルベットのような音など、V.12ならではの魅力がいっぱいです。
∗パレット 最大限に振動する部分のこと。
ティップやらヒールやら専門用語が乱発されていますので、画像で解説したいと思います。
ティップはリードの先端部分、パレットはリードが削られたところ、ヒールはリードのおしりの部分ですね。
つまり先端が厚め、パレットは長め、ヒールも厚めと全体的にトラディショナルよりがっしり体系みたいな感じに考えていただけるとよいと思います。厚く盛り盛りのリードということですね。
ついでですが、『traditional(青箱)』と今回の『V12(銀箱)』の厚さを比較できる画像を用意しました。
左がV12(銀箱)、右がtraditional(青箱)です。こうして見ると、結構厚さが異なることがわかるかと思います。
参考に、クラリネット用のページからも引用しましょう。(クラリネット用のページには各リードの厚さなども記載されていて、サックスとは色々異なると思いますが、参考になります)
V.12リードは、アルトサクソフォン用リードと同じ太さのケーンから作られます。したがって、ヒールが厚く、トラディショナルより若干ティップが厚く、∗パレットが長くカットされています。パレットが長いということは、振動しやすく深く豊かな音になります。ティップが厚いことは、最適なアタックが得られ、その上耐久性が増します。
V.12はE♭クラリネット用とバス・クラリネット用も追加され、それぞれあたたかく豊かで力強いサウンドです。
∗パレット 表皮を削った曲線からティップまでの長さ。最大限に振動する部分。
クラリネット用の各リードの厚みは以下の通りです。
Traditional
●ティップの厚さ:0.09mm(0.0035インチ)
●ヒールの厚さ:2.8mm(0.110インチ)V12
●ティップの厚さ:0.10mm(0.0040インチ)
●ヒールの厚さ:3.15mm(0.124インチ)
ティップはリードの先端、ヒールはリードのおしりの部分ですね。つまり両端の厚みが上の数字です。こうして比較すると、先端の厚みは0.01ミリ、ヒールの厚さは0.3ミリしか違わないんですね!それでも吹奏感にはかなりの違いがありますから、いかにリードというものが繊細なものかが分かります。
価格は公式価格でアルト用10枚入り 4,200円(税別)となっています。トラディショナルがアルト用10枚入りで3,700円(税別)ですから、ちょっとお高いリードですね。
インプレッション
やはりトラディショナルに慣れていると、同じ番手でも強い抵抗感を感じますね。また音の立ち上がり方にも特徴があるように感じられます。
全体的に温かみがあり柔らかい音色感ですが、倍音の含み方が独特で、ホールで聴くとかなり音がしっかり飛ぶ印象があります。ほんの少しチャリチャリした成分が増えるのかな?その辺りの成分が良い感じに作用して、音がしっかり飛ぶ印象です(雑味というのは、音を遠くまで飛ばすのに必要な要素です)。
最近はトラディショナルのような雑味が少なくクリアな音色が好まれる傾向があるように思うので、正直青箱ほど人気ではありません。また、上野耕平氏や須川展也氏のような音色を目指している方は、素直にトラディショナルを使った方がよいでしょう。
特別なケーンを使用しているからなのか、個体差はトラディショナルほどではない印象を受けます。しかしそもそも価格がトラディショナルより高いので、同じくらい個体差あったらコスパが大変なことになるとも言えますが…。
使い慣れていない方は立ち上がりも音色ももっさりしている印象を受けると思いますが、むしろ吹き込み方がわかるとトラディショナル以上にバキっとした音色を出すことが可能なリードだと思います。
おすすめマウスピース、番手など
トラディショナル以上にコシがしっかりしていますから、あまりジャズ・ポップスで積極的に使う方はいないかもしれません。
用途によりますが、私もジャズ・ポップス系の開きの広いマウスピースでは使いません。というか使えません、重すぎて。
セルマーS90 170・180やコンセプトに3番を合わせるのはおすすめですね。特にS90 180を使っていて「青箱の3番だと軽くて、3半だと思いんだよな」という方は一度試してみると良いかもしれません。
バンドーレンの最新マウスピース、AP3にも3番がおすすめです。
3半はかなり重たいので、音大生~プロクラスの方でないとおすすめしません。フランス人の国際コンクール入賞者、プロ、そして原 博巳先生クラスだと、A17やA28にV12の3半を合わせたりするようですが、これは息をものすごく効率よく入れられて、かつ口回り・インナーマッスルもしっかりしているからこそのセッティングです。
一般人がやると確実にもっさもさのシャーシャーサウンドになりますので、おすすめしません。
おわりに
という訳で、バンドレン リード吹き比べ・徹底比較レビュー企画の第3弾『V12』でございました!
ちょっと独特のサウンドですが、使い慣れるとホールいっぱいに響く素晴らしい音色を手に入れられると思いますので、興味のある方は是非試してみてくださいね。
ではまた!
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