サックスのビブラートは、いつから練習するべきか

サックス奏者全員が通る道。それが

「いつからビブラートの練習していいんだろ??」

である。

【結論】まずは先生に聞いた方がいい。
最悪、めちゃくちゃ怒られるから。

一応、サックスの先生もやっていた経験からすると、習っている方は先生に聞くのがベストです。

ビブラートの練習を開始するタイミングは、自分では判断が難しいと思います。早すぎても、遅すぎても良くないです。

奏法の状態や、練習頻度などによって、ビブラートの練習をスタートすべきタイミングは異なります。

先生に習っているなら、先生自身も「このくらいの時期からビブラート始めるか」と何となく考えているものです。

勝手に始めると怒られる場合もあるので、(特に音大系の先生に習っている場合は)必ず先生にお伺いを立てましょう。

先生にこっそりやるなら、やり方を工夫すべし

とはいえ、先生の許可が出なかったとしても、どうしてもやりたい方は多いかと思います。

気持ちはとっても分かります。だって私も、先生の許可が出ないうちからやっていたから。

正直、年齢とか上達レベルとかいろいろあるので、ビブラートの練習を勝手に練習を始めるのはおすすめしません。

しかし、「どうしてもどうしてもどうしても(先生に黙って)練習をスタートしたい!!のなら、やり方を工夫しましょう。

具体的には、奏法に影響しない範囲で、練習を進めるということです。

やり方については後述しますが、習っている先生に黙ってやるなら、バレないようにするのがベスト。

私は「やりたいなら自由にやればいいじゃない」というスタンスですが、勝手にいろいろやるのを快く思わない先生もいます。

お互いに気持ちよくレッスンを続けるためにも、徹底してバレないようにしましょう。

個人的には、ロングトーンとタンギングが安定したらOK

ブラートを始めるタイミングは、ロングトーンとタンギングが安定した時だと思います。

ただし「安定」といっても、その基準はさまざまです。

個人的には、以下のように考えています。

ビブラートの練習を始めるタイミング
  • ロングトーン:音程がブレないようにして8拍伸ばせる、音程がコントロールできる
  • タンギング:100の16分音符がテヌートできれいにできる

上記のような演奏スキルが身に付いていたら、ビブラートを始めてもいいかなと思います。

ただし、これも結構あいまいなんです。ロングトーンの善し悪しや、タンギングのきれいさは、なかなか自分では判断できないと思います。

実際、レッスンをしていても、自分でロングトーンやタンギングの課題点に気付ける人は少なかった印象です。

レコーダーを使う方法もありますが、やはり自己判断は難しいので、できれば人に聴いてもらって判断してください。

ビブラートの具体的な練習方法

サックスのビブラートは、以下のような方法で練習しましょう。

【ビブラートを練習する流れ】

  1. ビブラートの仕組みを理解する
  2. ロングトーンができるようにする
  3. 音程を上下させられるようにする
  4. メトロノームをつけながら練習する
  5. 録音をして違和感がないかチェック
  6. ジャンル・曲ごとに最適なビブラートをかけられるようにする

以下で、各練習方法を詳しく解説します。

①ビブラートの仕組みを理解する

まず「ビブラートとはなんぞや」という部分が理解できていなければ、ビブラートはかけられません。アンブシュアやタンギングをまったく理解せず、サックスをマスターできないのと同じです。

そもそもビブラートとはなんぞや

そもそもビブラートは、音を揺らす奏法です。

揺らす方法は楽器によって異なり、主に「口で揺らすタイプ」と「息で揺らすタイプ」に分かれます。

例えば「アウアウアウアウ」と高速で言うと、なんだか音が揺れているように感じませんか?これが音の揺れです。アウアウの場合、音色と音程が揺れます。

この揺れですが、西洋音楽の場合「ビブラートは教会の響きを模した物だ」といわれています。

広い教会やお風呂場なんかをイメージしていただきたいのですが、音がウワンウワンと響きますよね。このウワンウワンを意図的に作るために、ビブラートが用いられるようになったと言われています(諸説あり)。

サックスの場合は基本的に「音程」をゆらす

サックスの場合は口を動かして音程を上下させることによって、音を揺らします。

サックスは、アンブシュアの具合で音程を操作できる楽器です。このアンブシュアのコントロールによって、音程をゆらして「ワワワワー」っと美しい音を作ります。

ちなみに、同じ吹奏楽器でもフルートやオーボエは、息を増減させてビブラートをかけます。

この辺は聞いてみないと分からないと思うのですが、

こちらの2:45あたりを0.5倍速くらいで聴くと、音程がウワンウワンしてるのが分かります。

ジャズだともっと分かりやすくて

この辺を0.5倍速で聴いてみると、もう凄いウワンウワンしてるのが分かると思います。

このように、アンブシュアのコントロールによって音程を操作し、音をウワンウンワンさせるのがサックスのビブラートなのです。

②ロングトーンができるようにする

まずは、ロングトーンの練習をしましょう。

そもそも音をまっすぐに伸ばせなかったら、音程を操作することもできません。

ロングトーンが安定しない場合、そもそも口周りの筋肉が発達していないか、お腹が上手くつかえていないか、息をうまく吸えていない可能性があります。

初心者の場合、ロングトーンが安定するまでには数か月〜半年くらいはかかりますので、根気強くやっていきましょう。

ロングトーンはつまらない、退屈なトレーニングです。しかし、ロングトーンを大切にした人は、着実に上手くなれます。頑張りましょう。

③音程を上下させられるようにする

音をまっすぐ伸ばせるようになったら、音を動かすトレーニングをしてみましょう。

サックスの場合、口を緩めて・戻してというかたちで音程を操作します。

アンブシュアを締める(噛む)ほうも使うのですが、こちらは練習しすぎるとアンブシュアがどんどん堅くなるので、とりあえず緩めるほうだけで大丈夫です。

最初はゆっくり、チューナーを見ながら練習してみてください。

慣れてきたら、動かす幅を狭めていきましょう。チューナーでいうと、「・」二つか三つ分くらいの非常に狭い幅で動かせるのが理想です。

実際、ビブラートをかける際にはかなり狭い幅で音程を揺らします。この繊細な動きができないと、きれいなビブラートはかけられないので頑張りましょう!

④メトロノームをつけながら練習する

音程を動かす「幅」をコントロールできるようになったら、今度は「速さ」をコントロールする練習をします。

メトロノームを♩=60でかけて、二分音符で「緩める→戻す→緩める→戻す」を繰り返してみましょう(二分音符は2カチ分です)。

最初は中音域(オクターブキーを押さないソ〜真ん中ドくらい)のみで良いと思います。

慣れてきたら、Cメジャー(Dur)スケールの全ての音で、低音から高音までやってみましょう。

注意ポイントは、どの音でも同じくらいの幅でかけられるようにすることです。低音域は音程が動きにくく、高音は動きやすいので、どの音域でも同じようになるよう調整してください。

そして、慣れてきたら速くしていきます。四分音符、八分音符とどんどん細かくしましょう。

テンポも速くしていき、♩=100で十六分音符で「緩める→戻す」ができるようになればOKです。早くしたあともCメジャースケール全ての音でできるようにしましょう。

⑤録音をして違和感がないかチェック

これは各工程で行って欲しいのですが、録音をして変になっていないかを都度チェックしましょう。

特に、ビブラートができるようになってきたタイミングは、楽しくなってしまって奏法が乱れやすくなります。

幅が広すぎないか、幅が不均一になっていないか、音色が乱れていないかなど、とにかくこまめにチェックをしてください。

⑥ジャンル・曲ごとに最適なビブラートをかけられるようにする

ビブラートをある程度できるようになったら、あとはどんどん曲で使っていきましょう。

ただし、ジャンルや楽曲によって適したビブラートは異なります。

ビブラートの波の形、音程の幅、速さなど、曲によって変える部分はたくさんあります。

まずは演奏する曲のプロの演奏を聴いて、マネしてみるのがおすすめです。

ただし、このレベルになるとなかなか独学は難しくなります。できれば、誰かに習ったほうが良いですね。

ビブラートを練習するメリット・デメリット

ビブラートを練習するうえでは、さまざまなメリット・デメリットがあります。

ビブラートを練習するメリット

ビブラートを練習するメリットは、なんといっても「かっこよく演奏できる」ことです!笑

また、アンブシュアの柔軟性が高まるのもメリットですね。

さらに、音程をコントロールする力がつくのも、ビブラートを練習するメリットです。

ビブラートを練習するデメリット

ビブラートを練習するデメリットは、アンブシュアが崩れてしまうリスクがある点です。

やはりアンブシュアを動かす奏法なので、どうしても不安定になってしまいます。だからこそ、できればプロに見てもらいながらやってほうがいいんです。

それと、これはクラシック系に多いのですが、自動でビブラートがかかるようになってしまうのもデメリットです。

伸ばしの音に、なんでもかんでもビブラートをかけちゃうんですよね。

これは慣れの問題なので、本人も意識せずにかかっているケースがとても多いです。

音をまっすぐ伸ばす必要がある場面も非常に多いので、自動ビブラートがかかるようになってしまうと治すのに苦労します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。この記事を読んで「自力だと難しいかも……」と思った人もいるかもしれません。

そうなんです。ビブラートを独学でやるのって、かなり難しいのです。

レッスンに通っている方でも、自主練でがんばりすぎて変な癖がついちゃったりするケースがあるくらいですからね。

もちろん、独学でがんばるのもOKですが、数回だけでもレッスンを受けたほうが無難かなと思っています。

本記事を参考に、じっくりゆっくり練習してみてください!

2件のコメント

コメントありがとうございます!
ビブラート、とっても難しいですよね…。
現在はレッスン動画を作るのが難しいのですが、
須川展也さんや、その他のプロの方が動画を出されているので
もしご覧になっていなければ、調べてみてください!

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mo2
音大卒業後、某企業でレッスンや楽器販売などを行う。 2022年からライター兼ミュージシャンとして独立。 「おひとりさまスクエアシリーズ」 「実力でぶん殴られたシリーズ」などを投稿