2/25にセルマー社から新しいアルトサックス『Supreme / シュプレーム』が発表されました!ジャズ向けのモデル『リファレンス』から20年ぶり、シリーズ2・シリーズ3のマイナーチェンジ版『ジュビリー』からは約10年ぶりとなる新モデルということで、非常に期待されていますね。
今回は、そんなセルマー シュプレーム(Selemr Supreme)について、解説します!
セルマー シュプレーム発表!注目ポイントは?
クラシック・ジャズどちらにも最適な楽器
今回一番の注目ポイントとして、『クラシック・ジャズどちらにも最適な楽器である』ということです。
これまでの現行モデルは、シリーズ2・シリーズ3はクラシック向け、リファレンスがジャズ向けという方向性がありました。シリーズ3は最新の楽器、リファレンスはヴィンテージ楽器を意識したモデル、というイメージでしょうか。
しかし今回発表された『Supreme』は、クラシックでもジャズでも、もっと言えばファンクでもなんでもOKというのがコンセプトのようです。具体的には、以下の動画を参考にしてください。
この動画では、1番目「大石将紀さん」2番目「江川良子さん」4番目「大城正司さん」がクラシックの奏者、3番目の「前田サラさん」5番目「藤陵雅裕さん」がジャズ系の奏者(前田さんはファンクとかソウルも)ですが、5人それぞれの世界観にぴったりとマッチしていますね。
もちろんこれまでの楽器もこの楽器はこのジャンルと決まっていたわけではありませんが(シリーズ3は伊東たけしさんや渡辺貞夫さんも使用しています)、設計段階でのコンセプトからジャンルの垣根を超えたものというのは斬新だったかと思います。
各種キー構造の改良
これは「そりゃそう」という感じなのですが、新しい楽器なので、キー配列や構造などが改良されています。
ネックソケットに洋白を採用、3方向から均一に締められるようスリット追加
これはヤマハのYAS-875EXなどにも採用されているものですね。音がくっきりとするイメージでしょうか。
そしてソケット部分にスリットが入りまして(おそらく写真では見えない部分にもう一か所)、これにより三方向から均一にネックが固定できるようになりました。
ヤマハのカスタムモデルなどと比較してもかなりシンプルなつくりのソケットです。ぱっと見ヤマハの低価格帯かな?くらいシンプルなつくり。しかしここを軽量化するのは最近の流れとしてありましたし、接合部で振動ロスを減らすという観点ではベストなのかもしれませんね。
オクターブキーに特殊加工を施し、操作性向上
こちらは結構大きな改良ポイントです。シリーズ3などはオクターブキーの構造がちょっと複雑になっておりましたが、シンプルになっております。
そして親指で押すオクターブキーと、そこから横向きに枝分かれするバーがかなり近づいていますね。これによってより軽量な操作感になるのでは?と思います。
C#の音程補正キー改良
サックスの何も押さない「ド#」は、音程がかなり下がってしまうため、シリーズ3から音程が下がらないように穴を増やして、ド#を吹くときに「C#補正システム」が発動するようになっています。これをさらに改良して、よりよい音程になるようになりました。
たしかに、シリーズ3でもド#で替え指使っている人いて、「替え指だと高いし、開放だとちょっと低くて面倒…」という話を聞いたことがあったので、これはかなり便利かもしれません。
左手テーブルキーの操作性向上
構造を改良し、低音域を演奏するときに使用するテーブルキーの操作性が向上。出しにくく操作もしにくい低音域が演奏しやすくなるのは、全サックス奏者にとって朗報ですね。
サイドキーの形状、高さを改良
C3キー、Tcキー、Taキーの形状や高さが改良されました。特にシリーズ2なんかはかなり低くて、このキーにコルクをつけて高さを盛っている人もいるほどでしたので、最初から扱いやすい高さに改良されたのは嬉しい!
形状も改良されたとのことなので(多分丸みとかその辺)、より手になじむようになったのではないでしょうか。
キーガードのデザイン変更
こちらは以前のモデルに比べると結構細身になりましたね。
上の動画で藤陵雅裕さんが「キーガードがシンプルになった分、おそらく軽量になったのか、低音域が吹きやすくなった」と仰っていますが、その辺りにも良い影響があるようです。
新設計のベル
これは公式サイトにも『新設計のベル』としかないのですが…
恐らく開き具合などが変わり、音の飛び方などが良くなったのではないでしょうか。
彫刻がえぐい
これはなかなか凄いです。ベル部分はもちろん、二番管(キーがついている部分)にもたくさん彫刻が入っています。シリーズ2・シリーズ3よりもリファレンスは彫刻が豪華でしたが、リファレンス譲りという感じでしょうか。
デザインもおしゃれですね。
いつか試奏する日のために、気になるポイントまとめ
キーまわりが手になじむか
シリーズ2からシリーズ3への改良でかなり操作性は向上しましたが、それでも日本人の手には色々と操作しにくい部分があったのも事実。キー回りの向上によって、サイドキー、パームキー、テーブルキーがどのくらい手にフィットするかは注目です。
低音域、高音域の吹奏感はどうか
低音域はそもそも吹きにくい音域ですから、すっと音が出るかがまず注目ポイントとなります。キーガード、管体の改良により、このあたりがどう変化したかは要注目です。
そして高音域。上の動画でも「豊かな高音域」というコメントがありましたが、音色が良いか、そして息がしっかり抜けるか(良くない楽器だと、なんだか息が入りにくい・詰まった感じがします)も注目したいです。
デザインが気に入るか
これは写真だとなかなかわからない部分です。楽器を見た目で決めるなんて!という方もいらっしゃるかもしれませんが、見た目でテンションが上がらない楽器って、私はあまり好きじゃありません。やっぱりケースを開ける度にほれぼれするようなデザインだといいですね。
ほんとにジャズでもクラシックでもいけるのか
私はクラシックで音大を出て、今はジャズもクラシックもやるのですが、本当にどっちでも使えるのか?というのは気になるポイントです。もちろん動画にもあるように、きっと良いのだと思いますが。
これまでのサックスは、クラシック向けは音が太く豊かで、まとまりやすい。そしてジャズ向けは華やかな音色というのが大きな方向性としてあったと思います。それが両立しているとしたら、こんなに最高なことはありません。
価格は?
価格は以下のようになっております。
というわけで、一番安いラッカーで825,000円です。
高!!!!!!!!高い!!!!!!!!!!!!!!
シリーズ3のラッカーで660,000円(税抜)、リファレンスで635,000円(税抜)ですから、ラッカーの楽器としてはえらい高いです。
でもこれほどまでに考え抜かれた楽器、それほどに自身作ということでしょう。
私は、まずいつ選定できるだけ本数集まるか分からないので、しばらく様子見です…。
最後に
というわけで、満を持して発表されたセルマー シュプレーム!
私も早く吹いてみたいです!
●ダークゴールドラッカー 【¥750,000】
●銀メッキ【¥825,000】
●ブラックラッカー(キー:ゴールドラッカー【¥800,000】
●スターリングシルバー(キー:ゴールドラッカー)【時価】(総銀です)
●金メッキ【¥1,750,000】
すべて税抜き