吹奏楽・クラシック系サックス奏者が、ジャズに挑戦することについて(プロ向け)

デメリットも、もちろんあります。

こんにちは、もつでございます。

今回は、『吹奏楽・クラシック系サックス奏者が、ジャズに挑戦することについて』というテーマで書いていきたいと思います。

私はクラシックサックスで音大を出て、その後ジャズ・フュージョン系も勉強した身です。ですから、ジャズ・フュージョンのプロではありません。

そんな私ですが、もちろん色々と勉強になったこともありつつ、やはりこの2つを並行して練習するのはデメリットも多いと感じました。

この記事では、そんなデメリットについて、考えていきたいと思います。

1.吹き方と筋力バランス

ジャズ・フュージョンとクラシックでは、奏法が大きく異なります。

これは理論的にどうこうと言うこともできますが、どちらかというと【目指すべき音が違うから、結果として奏法も違ってくる】という感じですね。奏法を変えれば良いわけでなく、目指すべき音がきちんと定まっていないといけません。

で、奏法が違うと、もちろん使う筋肉が変わってきます。口輪筋の使い方ですね。

ここが大きなデメリットだと感じています。

使う筋肉が違うと、筋肉の付き方、筋肉のバランスが変わってくるわけです。

ですから、もともとの奏法に戻したときに感覚が狂います。それは、今までと筋肉のバランスが変わっているからです。

今までは、その時の奏法にあった筋肉の付き方になっていたわけです。しかしそこから崩れてしまうわけですから、これは大きなデメリットといえるでしょう。

違う奏法を学ぶということは、今までの奏法に戻せなくなる危険もあるということは、考えたほうが良いと思います。

2.セッティング

やはり、ジャズとクラシックではセッティングを大きく変える必要があります。

もちろん共通のセッティングでやることを否定するわけではありませんが、そのジャンルらしいサウンドを目指していくのならば、セッティングは自ずと変わるでしょう。

しかしそうなりますと、まずお金がかかる!マウスピースとリードは特に共通で使うのは難しいですから、別のものを用意していかなくてはなりません。

またそもそも違うジャンルのセッティングというのは吹き心地が大きく異なりますから、自分に合ったセッティングを探すのもかなり時間がかかります。

セッティング探求にかかる時間やお金は、やはり大きいのではないでしょうか。

3.楽器の癖が変わる

これは特にメタルマウスピースにおいてですね。

楽器というのは、吹けば吹くほど音色や音程などの癖がついていきます。その人にフィットした息の通り方になっていくんですね。

しかし普段クラシック・吹奏楽をやっている方がメタルマウスピースを使用すると、楽器の癖が大きく変わります。

もとのセッティングに戻したときに、「なんか吹き心地が違う…」となったら、もちろん吹き方もあると思いますが、楽器の癖が変わってしまったというのも考えられますね。

ですから楽器もしくはネックだけでも変えたほうが、普段の演奏方法がぶれずに済むのではないかと考えています。

4.歌い方の違い

クラシック・吹奏楽とジャズ・フュージョンでは、表現方法・歌い方も大きく異なります。

具体的には聴いていただくのが一番わかり易いと思いますが、いうなれば「フランス語と英語」くらい、言語が違うくらい異なるのです。

ですから、よほど奏法が固まっているプロでないと、別ジャンルを勉強したときに元のジャンルの息遣いがよくわからなくなることがあります。

ジャズとクラシックでは強調する音だったり、音程のとり方だったり、音色のコントロールだったり、本当に色々なことがことなります。

そういったことがごちゃまぜになる危険はありますね。

5.対処法

さて色々と言いましたが、個人的には色々なジャンルを「それっぽく」でなくしっかり学ぶことは、大きな意義があると思っています。

しかし、先述の通り自分の専門分野に悪影響があるかもしれません。そのための対処法をいくつかご紹介します。

①自分の奏法を、可能な限り言語化しておく。

舌のポジション、アンブシュア、口輪筋のつかいかた、ストラップの長さ、マウスピースの入射角、くわえの深さ、下顎の位置など、とにかく可能な限り言語化しておきます。

奏法はかならずぶれますから、そうなったときに思い出す手がかりとして。さらには、どこをどう変えたら良いのかがより明確にできるために、やっておきましょう。

②専門分野にブレが出てきたら、しばらく休む。

専門分野が戻せないくらいにブレたとき、精神的にかなりダメージを負ってしまいます。

もしハッキリとブレたと自覚できるほどだったら、しばらく休みましょう。一旦、色々リセットした方がよいです。

③動画、録音をたくさんしておく。

「自分はどういう音を出してたっけ?」となるのが一番危険です。

そこで、とにかく動画や録音をたくさんしておきましょう。そうすれば、自分の音色の方向性や歌い方を思い出すきっかけになります。

④タンギング練習など基礎練習を徹底する。

別ジャンルをやりはじめると、それに時間を使うために、基礎練習を怠りがちです。

しかしその甘えが、専門分野の奏法を見失う原因となります。必ず基礎練習をしましょう。むしろ、基礎練習を増やす勢いでいいと思います。

⑤練習の最後は、専門で締める。

練習の最後は、専門分野で締めたほうがいいでしょう。

楽器の癖をある程度修正してから楽器ケースに収めるためにも、翌日いい形で練習をするためにも、専門分野をしっかり思い出してから締めたほうが良いと考えています。

まとめ

というわけで、【吹奏楽・クラシック系サックス奏者が、ジャズに挑戦することについて】書いていきました。

色々勉強になりますが、やはりデメリットも多いですから、慎重に慎重にすすめていってください。

それでは!

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音大卒業後、某企業でレッスンや楽器販売などを行う。 2022年からライター兼ミュージシャンとして独立。 「おひとりさまスクエアシリーズ」 「実力でぶん殴られたシリーズ」などを投稿