こんにちは、もつでございます。
本日は、サックスのヴィブラート(ビブラート)について。みんなが憧れる技術ですね!
基本的にあごでかけるわけですが、なかなか独学だと難しいこの技術。ポイントは【とにかくゆっかり丁寧に!】です!
Table of Contents
練習方法(3ステップ)
まず結論から言うと、独学はまったくもってオススメできません。
レッスンで教えていても、ヴィブラートを修得するまでには時間がかかる方がほとんどでした。そして、ご本人が聞こえている感覚と、客観的に聴いた感覚では、かなりギャップがある場合が多いようです。
つまり、自分では「いい感じだ!」と思っても、うまくできていないケースが非常に多いということ。そのくらい、ヴィブラートの善し悪しを自己判断するのは難しいのです。
こうしたことから、基本的にヴィブラートを独学で修得しようとするのはオススメしていません。
しかし、「周囲に教えてくれる人がいないし、教室もない……」という方もいらっしゃるかもしれません。また、部活で「ここはヴィブラートかけて!」などと顧問の先生に無茶振りされることもあるでしょう。
そうした方に向けて、ヴィブラートのかけ方を3ステップでご紹介します!
- 顎で音程を変化させられるようにする
- 音程を変化させる「可変幅」をコントロールする
- 音程を変化させる「スピード」をコントロールする
ここからヴィブラートの修得方法をご紹介していきますが、以下の点を必ず注意するようにしてください。
- 1日5〜10分程度の練習に止める。練習しすぎると、アンブシュアが崩れるため。
- 練習をする際には、必ず録音をする。吹いている時に聞こえている音は、他人が聞こえている音とはかなり違うことを認識する。
- ブレスをおろそかにしない。ヴィブラート(口・顎)に集中しすぎると、呼吸が浅くなり、力んでしまう原因になる。
では、いってみましょう!
①まず、顎で音程をコントロールできるようにしましょう。
チューナーを使用して、おおよそ半音くらい音程を変化させられるようにします。
この音程を変化させる際に動かすのは、顎(あご)です。ほかにも音程をコントロールする方法はありますが、今回はヴィブラート修得がメインなので、顎だけ意識すれば問題ありません。
この「顎を動かす」なのですが、意外と自分の顎の関節や動き方を知っている人は少ないでしょう。なので、まずは顎関節を触りながら、「うーあーうーあー」と言って動きを確認するトレーニングからスタートします(説明が長くなりますが、大切な部分です)。
顎関節は、耳の真下くらいにあります。エラあたりを触りながら「うあうあ」と言うと、軸になっているポイントが見つかるかと思います。
そして、顎自体の動きはどうかというと、恐らくまっすぐ下には動いていないはずです。下方向ではありつつ、手前方向に曲線を描くように動きませんか?この顎の動きを把握しているのが、とっても大切です。
顎で音程をコントロールする際に、よく「顎を下げる」とか「顎をゆるめる」などと言うのですが、この言葉を聞くと大抵「顎を下方向に動かすんだな」と考えてしまいます。
しかし、顎はまっすぐ下には動きません。なので、顎を不自然に動かそうとしてしまい、いつまでも感覚が掴めないのです。
「顎関節がどこにあって、どのように動くか」を知っていれば、人体の構造に沿った自然な奏法が身につきます。顎関節はデリケートなので、この部分はしっかりとおさえておいてください。
さて、長くなりましたが、顎を動かす感覚が分かったら、楽器を使いながら音程を下げるトレーニングです!
真ん中ドの音で、息をたっぷり使ってロングトーンをしながら、顎をゆるめます。【ウの口】から【アの口(もしくはワの口)】にしていくイメージで取り組んでみましょう。
口の形をイメージしてうまくいかない場合は、息をまっすぐから下方向へ、徐々に変化させるようなイメージでやってみてください。
注意するポイントは「顎でなく息」です。顎をゆるめたり息の方向を変化させた時に、息やお腹の圧が抜けてしまうと、音が出なくなるので注意してください。
どうしても音が途切れてしまう方は、「ウ・オ」でなく「フーホー」のイメージでやってみたり、ゆるめると同時にクレッシェンド(息をぐーっと強めていく)イメージでやってみてください。
②幅をコントロールできるようにしましょう。
音程を変化させられるようになった方、おめでとうございます!では、その変化をよりうまくコントロールできるようにしましょう。最初は、音程を変化させる幅です。
ヴィブラートは、曲によって広めにかけたり狭めにかけたりします。「変わってる?」というくらいしか変化させない(顎を動かさない)場合もあれば、ガンガンにかける場合もあるのです。
ビブラートの幅は、この幅が正解というものはありません。ただし、どんな時でも激しくビブラートをかけるとくどくなってしまいますから、繊細なビブラートをかけられる技術が必要になります。
ヴィブラートの幅をコントロールするトレーニングでは、チューナーを使用します。
チューナーで見て、真ん中に合わせたら、左側の▼マークまで音程を動かし、また真ん中に戻すという動作を繰り返しましょう。
上のトレーニングができるようになったら、少しずつ幅を狭めて、最終的には⚫2個分くらいの幅で音程を変化させられるように練習します。かなり繊細ですが、特にクラシックにおいてこのくらいの幅でコントロールする力は必須です。
これができないと、ビブラートの量が多すぎてしまい、全体的に下品な印象になりますから、根気強くトレーニングしましょう。
③音程を変化させるスピードをコントロールできるようにしましょう。
最後は、変化させるスピードをコントロールできるようにしましょう。
ビブラートの要素のひとつに、スピードがあります。16分音符のような速いスピードで音程を変化させるのか、8分音符のようなゆったりしたスピードで変化させるのか、ということですね。
「うーーおーーうーーおーー」と「うおうおうお」のように、ヴィブラートは曲によって速くしたり遅くしたりする必要があります。その「変化スピード」をトレーニングしていきましょう。
練習方法としては、メトロノームを使用したものがあります。
まずは60にセッティングし、メトロノームに合わせてゆるめて→戻してを繰り返す練習です。【ピッ】という音に合わせて緩めて、戻してという具合ですね。
どうしても速くやりたくなってしまいますが、メトロノームは2ずつくらい、ゆっくりゆっくり上げていきましょう。
80で波を4つ(160で2つ)入れられるようになったら、大体の楽曲でヴィブラートを使用できるかと思います。
しかし、焦って速くやってしまう人は、いつまでたっても上手くなりません。丁寧に、丁寧に…。
この3ステップで、ヴィブラートがかけられるようになります。
顎で音程を変化させる感覚をつかみ、あとはスピードと幅がコントロールできれば、ヴィブラートの基礎としては完璧でしょう。
しかし、この練習は自己判断がかなり難しいです。独学の場合は、こまめに録音(もしくは録画)をして、変じゃないかを確認してください。
自分で吹いていて「いいかんじ!」と思っても、客観的に聴くとすごく変というケースは多くあります。
また、近くに教えてもらえる人がいるのなら、その方に習った方が圧倒的に近道です。最初に変な癖がついてしまうと、なかなか抜けませんので、なるべく誰かに習うのを推奨します。
楽曲で使用する際の注意点
まず、「どのような幅・スピードでかけるか」をあらかじめ考えてからかけましょう。
私含め、ある程度ビブラートに慣れてくると、感覚でかけがちです。その結果、どんな曲でも機械のように、同じスピードと幅のビブラートをかけるようになります…。
なので、特に最初のうちは「どんな幅で、どのくらいのスピードでかけるか」を考え、あらかじめ取り出して練習したりするようにしましょう。
ビブラートは、幅やスピード、さらには波の形などさまざまな要素がありますから、しっかりと楽曲やフレーズに合わせてかけるようにしましょう。
また、伸ばしの音全てにかけるのも禁物!かけるべき音と、かけない方がいい音があります。この辺りは誰かに習うか、プロの演奏を参考に勉強しましょう。
その他、教本など
ヴィブラート修得に役立つ教本はほとんどないのですが、強いて言うならばレジェンド須川展也氏の教本が良いかと思います。
ただ、最近はYouTubeなどに動画教材がたくさんアップされていますし、それこそ須川さんもヴィブラートに関する動画をアップされているので、そちらのほうが音もあって分かりやすいかな?と思います。
あと教本といえば、この教本はすごく良かったです。
この教本はヴィブラートもそうなんですが、そのほかの基礎的な内容も素晴らしかったですね。上級者にもおすすめできます。
そして、上記のような教材も使いつつヴィブラートができるようになってきたら、ゆったりした曲を使って練習してみてください。
- 動物の謝肉祭より「白鳥」 /サン=サーンス
- 展覧会の絵より「古城」 /ムソルグスキー(ラベル編)
- アルルの女より「間奏曲」 / ビゼー
- いつか王子様が / ハリー・ストックウェル・ アドリアナ・カセロッティ
(四分音符 = 100程度) - アメイジング・グレイス
- ロンドンデリーの歌(ダニーボーイ)
- フェルリングのエチュード、奇数番号(上級者向け)
まとめ
というわけで、サックスにおいてのヴィブラートのかけ方講座でした!
ビブラートを修得する際は、とにかくゆっくり丁寧に、時間をかけて行いましょう。この記事が、何か参考になれば幸いです。
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